tosumalog~ IT的備忘とパパ的備忘を書き綴ります ~

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辟易とするIT業界(SES)の市場原理

 

こんにちは、tosumaです。


今回は小さい会社というか私が実際にプロジェクトを回す上での体制づくりのプロセスと悩みの例を御紹介します。


零細~中小企業では一般的に、大手SIerや既存のエンドユーザーへ提案や案件のお話を頂いた際、既存リソースで体制を充足できない場合にSESパートナーに声を掛けて要員はSESで確保している事が多いと思います。


弊社の場合、具体的には懇意にしてるパートナーへは直接コンタクトを取り、
それ以外ではお付き合いのあるSESパートナー数十社に一斉に案件紹介のメールを投げる形を取ります。
その後、各社より要員のご提案を頂き、経歴書での書類選考→面談→契約、という流れになります。

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昨年から大阪で商流を大きく広げたこともあり、この「SES」という市場原理に若干辟易しています。

 

 

SESとは?

 
以前の記事にも記載しましたが、正式にはシステムエンジニアリングサービス契約といい、システム開発や運用を行うためにエンジニアを提供する契約形態になります。

SES契約は労働法規などでは業務請負の一種とみなされる。このため、労務管理や指揮命令系統などが発注元企業から独立している必要がある点が、発注元企業による指揮命令の下で業務を行う派遣契約との大きな違いである。賃金は技術者の労働力に対して支払われ、システムの完成は支払い要件には含まれない。 民法での典型契約が委任であっても、下請法における取引が「情報成果物作成委託」や「役務提供委託」であっても、労働者派遣法や職業安定法の区分基準では「業務請負」であり、違法派遣や偽装請負に該当しないように注意が必要である。

引用元:ウィキペディアWikipedia


SES契約は案件単位等でエンジニアをプロパー(社員)以外で確保できるため、発注する側としては非常に有効な手段です。 

受注側もあくまでも「業務委任」となるため成果物責任もないためスキルマッチさえしていれば非常に提案しやすいです。

 

市場原理とは?

 

市場がさまざまな過不足やアンバランスを自ら調整し最適化する仕組みや機能。商品の価格、需要と供給、労働市場などさまざまな場面で、多くの市場参加者が自己利益を追求することで働くとされる。

引用元:デジタル大辞泉


上記引用の言葉の通りなのですが、IT業界 かつ SES事業におけるこの思想が、この業界の「良」であり「悪」であると思います。

SESでの運用をなぜするのか?

 

冒頭にも書きましたが、弊社のような零細~中小企業では仕事を受注した場合には以下2つの理由でSESで人を募集します。

1.利益率
2.要員不足

1.については、基本的にIT業界での原価のほとんどは人件費になりますので、単価の低い人でいかにプロジェクトを回すかで利益が大きく変わってきます。レベルにもよりますが弊社の場合、出し値は1月 50万~100万くらいが単価感になりますので、原価の安い人で体制を組めればそれだけ利益確保が望めます。もちろん、ロースキルなメンバーで体制を組むことはリスクがあるので無茶はしません。

2.については、単純に人が足りないので外部から要員を集めて体制を組みます。


例えば、大きな案件の場合、上流などコアな部分はパートナーさんに任せるケースはほとんどなく、ドキュメンテーションやコーディング、テストあたりを対応頂きます。そのため、中堅SEや若手PGあたりを募集する事がほとんどです。

ちょっと脱線しますが。。。
SES事業メインの会社に就職された若手の方、悪い事は言わないので案件に恵まれなかったら早めに転職を視野に入れた方がいいです

よっぽど恵まれていない限り、上記の背景などからあなたは上流工程やマネジメントを経験させてもらえませんので、3年、5年とキャリアを積んでもスキルは伸び悩むと思いますし、実際そういう方がかなり多いです。独身など自分に使える時間の量、純粋な体力、吸収する力、将来へのモチベーションなどなど、諸々のステータスが高い貴重な20台の3~5年をロストするの事はキャリアパスへのインパクトが非常に非常に大きいです。

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。。。書くと長くなるので、SES契約者側の目線の話はまた別で。


SESで要員を募集する


ある程度提案などで確度が高くなる、受注した段階で要員の募集を始めます。
一番失敗が少なく、望ましいのは付き合いの長い懇意にしているSESパートナーの会社へ声をかけて、その会社から御提案頂くパターンです。

ただ、タイミングやスキルセットなどの問題で必ずマッチするわけでもないので、他にも声を掛ける事が多いです。

弊社の場合、関係会社各社へ一斉に案件情報を通知するシステムがあるので、割と短時間で数十社へ連絡する事が可能です。

この流れの何が悩ましいのか?



前置きがかなり長くなりましたが、ようやく本題です。

もちろん大阪にも「人買い」「人売り」における、いわゆるコミュニティがあり、案件情報を流すと、その中で情報は周り、その中で人を御紹介、御提案頂きます。

「人売り」とか言葉だけ取るとなかなか強烈なワードですよね。
でも普通に耳にする言葉です。(人買いのXXXさん、とか)

言い出すとキリが無いので悩むポイントを3つ簡単に抜粋します。

1.単価



単価が高すぎる。



各社ご提案頂く場合、当然相手もビジネスなので利益を積んでこられます。
なので、同じレベルの要員をご提案頂く場合でも会社によって単価が大きく変わってきます。それはまぁ分かる。

ただ、最近は1年目かつ研修終わりの要員の方でも高単価を提示されます。
金額の根拠を聞くとだいたい同じキーワードが出てきます。


「今、ITは人手不足。

 売り手市場ですから。」

研修終わってExcelしか使えないような方を40万、50万で雇えと、当たり前のように口にされます。もうね、あほかと。

 

2.商流の深さ



商流深すぎ
訳がわからないよ。


上記単価の話にもつながりますが、各社プロパーを必ずしもご提案頂くわけではなく、同様にSESの要員などをご提案頂く場合もあります。それが繰り返し行われる場合もあり、以下のような商流のパターンもあります。

<パターン1>
弊社 > SESパートナーA社 > SESパートナーB社 > フリーランスXさん
<パターン2>
弊社 > SESパートナーC社 > フリーランスCさん

この場合に、A社とC社が同じXさんを弊社に提案頂く場合、A社提示の金額はA社の利益とB社の利益分が乗っているためC社提示金額とで大幅に差が出てきます。
同じタイミングで複数の会社から同じ人を御提案頂くケースは珍しくないです。


3.脚色を加えられた経歴書



これ誰の経歴書なの?


SESパートナーの営業さんも押し込みたいので経歴書が弱いと思ったんでしょうね、少し色付けしてくる事が多々あります。
募集要項に書いてるキーワードをとりあえず経歴書に入れてくるケースがあり、もちろんその経歴があるから実際に面談までさせて頂いて確認するのですが

「営業が書いたので
 説明は割愛します」

「記載の要件定義は
 参画だけなので無理です」


せめて面談前にもう少し作戦会議してきてくれよ。


まとめ


IT業界におけるSES事業は、このような市場原理で成り立っており、このレベルの事はしょっちゅうあります。基準はあるものの、もはや安価でロースキル、高価でハイスキルとか、そういう世界では無いです。

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といっても、SESパートナーと協業していく以上、見極めながら上手にお付き合いしていくしかないので、是非とも皆さんもSES契約とは上手なお付き合いを。



 

 

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お読み頂き有難うございました。